リスは自分の遺伝子を残すため、命をかけて警戒音を鳴らす

リスは自分の遺伝子を残すため、命をかけて警戒音を鳴らす

平和に暮らしているリスがいます。そこへどこからともなくタカがやってきて、リスを狩ろうと急降下を始めます。すると危険を知らせるために、リスは野原いっぱいに高く鋭い悲鳴を出すのです。それに気づいたほかのリスは、死に物狂いで、巣穴や安全な避難場所に逃げ込みます。

この行動には、疑問が出てきます。なぜ一人のリスが危険を犯すのか?精一杯声を上げれば、一番目立ちます。他のリスに任せることなく、あえて自分でリスクを背負う必要は何なのか?

答えは、自分の遺伝子を残すためです。そのリスの周りにいる他のリスたちは、でたらめに集められた集団ではありません。血縁関係のある仲間たちがいっぱいの集団なのです。

リスでも人間でも、子供はその両親からランダムに半分ずつ遺伝子をもらいます。その結果、兄弟の遺伝子は、平均50%が同じものを共有することになります。だから、自分が命を落としても、二人の兄弟リスを救えば、集団の中に残る自分の遺伝子は、プラスマイナスゼロになります。三人救えば、集団に残る自分の遺伝子はプラスになるのです。

また、リスが警告音を発する機会は、オスよりメスのほうが多くあります。動物は、個体が成長して自力で生活できるようになると、オスとメスですみかを作る場所の選択が異なる場合がたくさんあります。リスの場合、メスは生まれ育った集団に残り、オスは別の場所に生活の拠点を求めます。

だから、オスの周りにいる他のリスたちは血縁関係のないリスの場合が多いのです。するとそのオスは警告音を発しません。自分の遺伝子が残るわけでもないので、わざわざ危険を冒さないのです。まれにメスが他の集団で暮らすことになった場合でも、そのメスは警告音を発しないことが確認されています。

リスは自分の遺伝子を守るため、家族を助けます。